赤ちゃんの突発性発疹：知っておくべきこと

赤ちゃんの突発性発疹：知っておくべきこと

突発性発疹とは

突発性発疹は、主に０歳から１歳くらいまでの赤ちゃんに多く見られる、ありふれたウイルス性の病気です。この病気は、ヒトヘルペスウイルス６型や７型によって引き起こされると考えられています。これらのウイルスは、くしゃみや咳によるしぶき、または唾液を介して人から人へとうつります。ですから、保育園や幼稚園など、小さな子どもたちが一緒に過ごす場所で感染が広がりやすいです。

この病気は、特徴的な経過をたどります。まず、３８度以上の高い熱が３日から４日間続きます。この間、他に目立った症状はあまり見られません。熱が高いと、子どもはぐったりしたり、食欲がなくなったりすることがあります。そして、熱が下がると同時に、小さな赤い発疹が体全体に現れます。この発疹は、顔や体、手足にまで広がることがありますが、かゆみはほとんどありません。発疹は数日、長くても１週間ほどで自然に消えていきます。

突発性発疹は、ほとんどの場合、自然に治る病気です。そのため、特別な治療は必要ありません。ただし、高熱が続く間は、水分を十分に摂ることが大切です。母乳やミルク、麦茶などをこまめに与え、脱水を防ぎましょう。また、まれに、高い熱によってひきつけを起こすことがあります。ひきつけが起きた場合は、落ち着いて子どもの様子を観察し、すぐに病院に連れて行きましょう。

突発性発疹は一度かかると免疫ができるため、通常は二度かかることはありません。また、後遺症も残りませんので、あまり心配する必要はありません。しかし、初めての子どもの場合、突発性発疹かどうかを判断するのは難しいかもしれません。子どもの様子がおかしいと感じたら、自己判断せずに、早めに医師に相談しましょう。

症状と経過

{突発性発疹は、生後６か月から１歳半頃の子どもに多く見られるウイルス感染症}で、ヒトヘルペスウイルス６型や７型が主な原因です。この病気は特有の経過をたどるのが特徴です。まず、３８度以上の高熱が突然現れます。まるで何の前触れもなく、急に熱が上がることが多く、３日間から４日間ほど続きます。解熱剤を使用しても一時的に熱が下がるだけで、すぐにまた上がってしまうことがほとんどです。高熱が出ている間は、子どもは全身のだるさを感じ、機嫌が悪くなったり、食欲が落ちたりすることがあります。また、熱性けいれんを起こす子どももいます。その他、ごくまれに髄膜炎や脳炎などの合併症を引き起こすこともありますので、注意深く経過を観察する必要があります。

高熱が続いた後、熱が下がると同時に全身に発疹が現れます。この発疹は、１～５ミリメートル程度の小さな赤い斑点状の発疹で、胸やお腹といった体の中心から現れ始め、その後、背中、顔、手足へと広がっていきます。発疹はかゆみを伴わないことが多く、通常は数時間から数日で跡を残さずに消えていきます。発疹が出ている間は、特別な治療は必要ありません。突発性発疹は一度かかると免疫ができるため、基本的には同じウイルスに再び感染することはありません。しかしながら、ヒトヘルペスウイルスには複数の型が存在するため、別の型のウイルスに感染して突発性発疹を発症する可能性は残ります。また、突発性発疹は感染力が弱いため、周りの子どもへの感染を過度に心配する必要はありません。ただし、飛沫感染や接触感染の可能性はありますので、感染した子どもと濃厚な接触は避けるようにしましょう。もし、お子さんが高熱や発疹などの症状を示した場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けてください。

家庭でのケア

突発性発疹は、多くの場合特別な治療が必要なく、家庭でのケアが中心となります。赤ちゃんが突発性発疹にかかった時は、保護者の方の丁寧な看病が重要です。

まず高熱が出ている間は、脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給を心がけてください。母乳やミルク、あるいは市販されている経口補水液などを与え、赤ちゃんの体に十分な水分を取り込めるようにしましょう。赤ちゃんの様子をよく見て、少量ずつでも良いので、常に水分が摂れる状態を保つことが大切です。もし赤ちゃんが食欲がなく、食事をあまり摂れない場合は、無理強いして食べさせる必要はありません。消化に良いものを選んで、少量ずつ与えるようにしてください。うどんやおかゆ、すりおろしたりんごなどがお勧めです。

高熱によって赤ちゃんが不快感を覚えている場合は、冷えピタや冷却シート、あるいはぬるめのタオルで体を冷やすと良いでしょう。脇の下や足の付け根などを冷やすのも効果的です。また、部屋の温度を適切に調整して、赤ちゃんが過ごしやすい環境を作ることも大切です。熱が上がりすぎるときは、医師の指示に従って解熱剤を使うこともできます。アセトアミノフェンなどの解熱剤は、高い熱を下げるのに役立ちます。ただし、アスピリンは赤ちゃんに与えてはいけません。ライ症候群という重い病気を引き起こす可能性があります。医師の指示に従い、薬の種類と量、与えるタイミングなどを正しく守るようにしてください。

赤ちゃんの熱が下がってきたら、通常通りお風呂に入れても大丈夫です。ただし、発疹が出ている間は、石鹸で強くこすったり、熱いお湯に長時間浸からせたりするのは避けましょう。赤ちゃんの肌を刺激しないように、優しく洗い、ぬるめのお湯で短時間済ませるようにしてください。

病院を受診すべき場合

子どもの急な発疹は、多くは突発性発疹など自然に治る病気であることが多いです。しかし、いつもと様子が違う、他に気になる症状があるといった場合には、早めに病院を受診する必要があります。

まず、高熱についてです。子どもは病気になると熱が出やすいですが、高熱が５日以上続く場合は注意が必要です。突発性発疹は高熱が出た後、熱が下がると同時に発疹が現れることが多いですが、他の病気の可能性も考えられます。

次に、水分についてです。高熱が続くと、水分を摂る量が減ったり、汗で多くの水分が体から出ていったりして、脱水症状になることがあります。脱水症状になると、ぐったりしたり、元気がなくなったりします。おしっこの量が減っている、唇や舌が乾いている、泣いても涙が出ないといった脱水症状の兆候が見られたら、すぐに病院を受診しましょう。

また、意識の状態にも注意が必要です。子どもがぐったりしている、意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しないといった様子が見られたら、重症の病気のサインかもしれません。すぐに救急車を呼ぶなど、迅速な対応が必要です。

さらに、痙攣や呼吸困難も重要なサインです。痙攣は、高熱が出たときに起こることがありますが、初めて痙攣を起こした場合は、必ず病院を受診しましょう。呼吸が苦しそうだったり、呼吸が速い、息を吸う時に胸がへこむ、唇や顔が青いといった様子が見られたら、すぐに病院へ連れて行きましょう。

発疹が消えた後も、何らかの症状が続く場合は、念のため医療機関に相談することをお勧めします。自己判断せず、医師の診察を受けることで、安心して適切な処置を受けることができます。

予防

突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型や7型によって引き起こされるありふれた病気です。残念ながら、このウイルス感染を完全に防ぐことは難しいですが、感染の可能性を下げるために、日ごろからできる対策はいくつかあります。

まず、基本的なことですが、こまめな手洗いを心がけましょう。ウイルスは、手についた汚れを介して体内に入り込むことがあります。特に、外出先から家に戻った時や、食事をする前には、石けんと流水を使って、手のひらや手の甲、指の間、爪の先まで丁寧に洗いましょう。手洗いは、ウイルス感染を防ぐための最も効果的な方法の一つです。

お子さんが日常的に触れるおもちゃや、よく使うドアノブなどは、定期的に消毒することも大切です。アルコール消毒液や、薄めた塩素系漂白剤などで拭き掃除を行い、清潔な状態を保ちましょう。また、タオルの共有なども避け、一人ひとりが清潔なタオルを使うようにしましょう。

感染している人との濃厚な接触を避けることも重要です。突発性発疹が流行している時期は、特に注意が必要です。なるべく人混みを避け、不要不急の外出は控えましょう。やむを得ず外出する場合は、マスクの着用を検討しましょう。

お子さんの健康を維持するためには、規則正しい生活習慣と、バランスの良い食事を心がけることも大切です。十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの良い食事を摂ることで、免疫力を高め、病気にかかりにくい体を作ることができます。新鮮な野菜や果物を積極的に取り入れ、免疫機能の維持に役立つ栄養素を十分に補給しましょう。これらの予防策は、突発性発疹だけでなく、他の感染症の予防にも繋がります。日頃から気を付けて、お子さんの健康を守りましょう。