
妊娠線ケアの新常識:シルダーム
妊娠線は、急激な体の変化によって皮膚が引き伸ばされ、皮膚の奥にある真皮と呼ばれる層が裂けることで生じます。ちょうどゴムを急に引っ張ると亀裂が入るように、皮膚も急激な伸びに対応できずに断裂してしまうのです。この裂けた部分が線状の跡となって肌に残るのが妊娠線です。
皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織の3つの層で構成されています。真皮には、肌のハリや弾力を保つコラーゲン線維とエラスチン線維という2種類の線維が存在します。急激な体重増加や体の成長が起こると、皮膚は無理に引き伸ばされます。この時、真皮のコラーゲン線維とエラスチン線維が損傷を受け、伸びきってしまい、ついには断裂してしまうのです。これが妊娠線の正体です。
妊娠線は、出来てすぐは赤紫色をしています。これは、断裂した真皮の下にある血管が透けて見えているためです。時間の経過とともに、炎症が治まり、血管も見えなくなると、線の色は白っぽく変化していきます。妊娠初期には、この線状の傷に沿ってかゆみを生じる場合もあります。
妊娠線が発生しやすいのは、お腹、太もも、胸、お尻など、皮下脂肪がつきやすい部分です。これらの部分は、体重の増減や体の成長の影響を受けやすく、皮膚が大きく伸展しやすい場所です。特に妊娠中は、お腹が大きくなるため、皮膚への負担が大きくなり、妊娠線が最も出来やすい時期と言えるでしょう。思春期もまた、体の成長が急激に進む時期であるため、妊娠線が出来る可能性が高い時期です。さらに、皮膚の弾力性は遺伝的な要素も大きく影響するため、体質的に皮膚が伸びにくい方は、妊娠していなくても体重の変化だけで妊娠線が出来てしまうこともあります。一度出来てしまった妊娠線を完全に消すことは非常に困難です。そのため、妊娠線を作らないための予防、あるいは出来てしまった後の適切なケアが大切になります。